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    【日本のCTO vol.4】リブゼント・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 橋本善久氏 「CTOとは“ちょっとときめくお兄さん”であること」<後編>

    日本のCTO

    2016年01月14日

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    【連載:日本のCTO】成長中の企業でCTOを務めるエンジニアたちは、どのような道のりを経てそこへたどり着き、現在は何を思考し、努力を続けているのか? この連載では活躍する日本のCTOを訪ね、キャリアの背景にあるストーリーから、CTOとしての知られざる思考やエピソードなどを伺っていきたい。

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    第4弾はリブゼント・イノベーションズ株式会社、代表取締役社長、橋本善久氏。株式会社セガでプログラマー、ディレクターとしてゲーム開発に従事した後、株式会社スクウェア・エニックスのCTOに就任。しかし昨年、ゲーム畑から一転した事業に着手すべく起業し話題となった。また、学生向けのプログラミングスクールを開催するライフイズテック株式会社取締役CTOを兼務するなど活躍の幅は多岐に渡る。そんな橋本氏のこれまでの経緯を追うとともに、これからの視点、そして「働くことの意義」をうかがった。


    ※記事は前編、後編に分けて掲載します。本記事は<後編>です。


     

    ■あえてゲーム業界以外の世界に飛び込んでみたかった

    Q.2014年、自身の会社リブゼント・イノベーションズ株式会社を起業しますが、17年間いたゲーム業界ではなく、別の畑で事業を展開していますね。これは、なぜでしょうか?


    単純にゲーム業界以外の世界を知っておきたかったんです。もともと、ゲーム以外の興味も強いので起業するときはまったく別の業界と決めていました。その中でも経験値をあげておきたかったWeb業界に参入することにしたんです。ただし、ゲーム業界は今後もホームであり続けますし、ゲームも作っていくことは間違いないです。それを前提としつつも、いろいろな世界を見ておきたいし、いろいろなサービスも作ってみたいなと思いまして。


    社名のLIBZENTとは、生活(Life)、仕事(Business)、娯楽(Entertainment)の頭文字をとった造語です。人々の限られた人生の中にある日常生活や仕事、娯楽をより豊かに価値のあるものに変化させたい。そんな思いのもと「仕事に活気を、人生に潤いを。」をテーマに会社を立ち上げました。


    この社名には僕自身の現状の気持ちも含まれていて、人生に潤いを持たせるために勉強がしたかったんです。プログラミング、マーケティング、経営、財務など改めて勉強して知識体系を構築し直したいと考えたことも起業の大きな理由。会社員だと、どうしてもやりたいことが限られるし、自分にかける時間も少なくなってしまうので。スクエニではゲームをリブートしましたが、今度は自分自身をリブートしたいと思ったんですよ。


    Q.御社の事業内容を教えてください。


    事業内容としては自社アプリケーションソフトの開発、コンサルティングなどがメインです。コンサルティングでは、いままでのプロジェクトマネジメントのノウハウをさまざまな会社や業界と関わって化学反応を起こすことが目的。化学反応が起きてアウトプットすることで、また新たな改革が起こる。このスパイラルをさまざまな業界で起こしたいと考えており、おかげさまで現在、6〜7社の企業のアドバイザーや開発支援を行っています。


    そして、ソフトウェアの開発に着手した理由は単純明快で、自分がゲーム業界でマネジメントをしているときに大規模プロジェクトを管理できるめぼしいツールや、タスクやスケジュール管理をするツールがなくて困っていたから。商売云々よりも自分が欲しいツールをつくる場所が欲しかったんです。


    目安でいうとTrelloとかEvernoteとか少しひねりのある仕事向けツールを作っていきたい。そのためには優秀なエンジニアが必要ですが、一般採用しても優秀な方がすぐに応募してくれるとは限りません。そんなときITプロパートナーズのサービスを知って「これだ!」と思いました。自分や会社にとって求めるスキルを持つエンジニアの方をスムーズに紹介していただける。この協力体制によって人材を探す時間のロスが減り、生産速度があがりますから。


     

    ■今後、求められるエンジニアは利己でなく利他の思いが強い人

    Q.実際にITプロパートナーズを利用していかがでしたか?


    スタートアップ時は週5日は仕事が提供できないけど、このスキルは欲しいというものがあります。だからこそ、週2、3日でアプローチできるのは大きなメリット。筋論に背いていなければお互いがハッピーになれるサービスですね。


    ひとつの企業に所属することも大切かもしれませんが、そうじゃない働き方が増えていい時代。行く先々で化学反応が起こせれば、それはとても価値のある働き方だと思います。実際に自分が今、そういう働き方をして対価以上のメリットを感じているので。


    現在はITプロパートナーズを利用してエンジニアの布陣も強化でき、僕自身も要件定義やインターフェース設計をしており、サービスインに向けて着々と進んでいる状況です。


    Q.今後、どのようなエンジニアと一緒に働きたいと思いますか?


    人のために働ける人ですね。たとえスキルがあったとしても、自分のために行動するエンジニアとは働きたくない。“自分のため”で行動する人って自分の設計になっちゃうんですよ。段取りを無視して動くからいい結果にならないことが多くて。


    僕の行動原理は利己ではなく利他。物事を発信するときは、自分への還元ではなく、世の中への還元を重視しています。これはきれいごとでもなんでもなく、利己的に行動する人は途中まで順調に進んでペースも早いんですけど、必ず大きな壁にぶつかってしまう。いままでそんな人を何人も見てきましたから、事実に基づいた思考なのです。


    そして大小関わらずプロダクトの背骨をきちんと見つけて仕事を進められる人。小さいプロダクトだからといって、設計をおろそかにしてコミュニケーションだけで乗り切ろうとしているのは本末転倒。規模や複雑性に応じて進め方のバランス調整ができる柔軟な方はいいなと思います。


     

    ■中高生に向けたITキャンプを開催。モノを生み出す楽しさを知ってほしい

    Q.昨年、ライフイズテック株式会社のCTOとして就任されましたが、これも利他の思いからでしょうか? 具体的な事業内容とともに教えてください。


    まず、ライフイズテックの事業内容からお答えすると、中高生に向けてのプログラミング、ITキャンプ、スクールを運営しています。プログラミング教育をできるだけ安価で楽しいコンテンツとして提供することを目的としていますが、ただプログラミングの知識を学生に教えるというものではありません。モノを生み出すクリエイティブの楽しさを知ってもらうことが第一なのです。


    ですから「夢中で楽しんでいたらプログラミングスキルが身に付きました」というのが理想。ライフイズテックの目的は未来のプログラマーを育成することではなく、プログラムが何かを理解してもらうことで学生たちが発想の思考を変えたり、将来につなげることができたりすればと考えています。


    「利他の思いか」という質問に対しては、僕の根幹の思いがそこなのでイエスですね。何かプロダクトを生み出すときも、それが人の役に立ってみんなで楽しめる意味のあるものしかやりません。自分で完結してしまうものを生み出す気は一切ないので。


    以前、ライフイズテックの学生たちに「プレゼンの方法を教えて下さい」と聞かれたことがあったんですが、僕の答えは「まず、自分のやりたいことを先に伝えるのではなく、相手の気持ちや視点を考えたうえで、自分の言いたいことを相手の頭に置いてくること」。これは学生に向けての答えではなく、自分自身がプレゼンする際のベースでもあります。


    私のライフイズテックにおけるメインミッションである「オンラインプログラミング学習システム」ですが、かなりいい感じに制作が進んできています。楽しみにしていてください。


    Q.橋本さんが思う「CTO」とはどんな存在でしょうか?


    “ちょっとときめくお兄さん”ですね。これ、冗談っぽく聞こえるかもしれませんが、結構真理をついているんですよ。この中には2つの“ときめく”があって、ひとつは存在としてときめくこと。やはりプロジェクトを牽引する立場ですから“イケていて”“尊敬される”存在でいないとダメだと思うんです。


    そして、もうひとつは“ときめくプロダクト”をつくりだせること。僕がキーワードとしているリアルタイムエクスペリエンスもそうしですし、ライフイズテックもそう。人がときめくようなクリエイティブを形にすることが僕が考えるCTOの役割だと思いますね。


    Q,今後、橋本さんが目指す方向はどこですか?


    「日本をどのように活性化するか」というのが軸にあるように思います。リブゼントやライフイズテックの活動も、他にやっているコンセプトアート会社のINEIの活動も根っこはそこに繋がっていますから。今後、意識されるのは生活や仕事の改善、エンジニアリングやクリエイティブの領域の活性化などが中心になると考えています。目指す方向に向けて、やれることを自分のペースでコツコツとやっていければと思っています。


     


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