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    【日本のCTO vol.3】Repro株式会社 三木明氏 「失敗は決して悪ではない。大切なのは繰り返さないこと」<後編>

    日本のCTO

    2015年08月13日

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    【連載:日本のCTO】成長中の企業でCTOを務めるエンジニアたちは、どのような道のりを経てそこへたどり着き、現在は何を思考し、努力を続けているのか? この連載では活躍する日本のCTOを訪ね、キャリアの背景にあるストーリーから、CTOとしての知られざる思考やエピソードなどを伺っていきたい。

    自らを“ジョブホッパー”と呼ぶ三木明氏の経歴は事実、目まぐるしいという言葉がぴったりかもしれない。大手企業のサラリーマンを経て、20代半ばで初のCTOに就任。そこから、様々な事業に携わってきた三木氏のユニーク且つ、チャレンジ精神旺盛なジョブチェンジは聞いていてワクワクするほどだ。現在は、ユーザー行動解析サービスを提供するRepro株式会社のCTOとして活躍している彼にこれまでのストーリー、そしてこれから向かう先を聞いた。


    ※記事は前編、後編に分けて掲載します。本記事は<後編>です。


     

    ■信じられるメンバーと成功体験がしたくてRepro株式会社を設立
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    Q.昨年、CEOの平田祐介さんとRepro株式会社を設立。平田さんとは数年前に別事業を起こそうとして三木さんから離れましたが、再びタッグを組もうと思ったのは?


    彼の人間性が好きだというところが大きいですね。もちろん、戦略系コンサル出身で非常に頭のキレるタイプであることと、人を惹きつける力があるところも一緒に起業しようと考えた理由です。


    僕のいままでの経歴を聞いてお分かりのように、事業はほとんど失敗しています(笑)。


    だからこそ信じられるメンバーと事業を成功させる“成功体験”を一度でいいからしたいんですよ。そのために一番信頼できるメンバーと始めた、というところでしょうか。


     

    ■次世代アナリティクスツールを開発しユーザー行動をリアルタイムに分析
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    Q.現在の事業内容を教えてください


    アプリ向けアナリティクスツール『Repro』を提供しています。アプリの成長にはユーザー数の向上とユーザー定着率向上の二つがあります。Reproはこのユーザーの定着にフォーカスしたツールです。定量分析と定性分析の両側面から問題解析を行えるため、定量分析で問題点を把握し、定性分析で原因を知ることができます。


    既存のアナリティクスツールはどこでユーザーが離脱したかは分かりますが、何故、離脱したかが分かりません。そのため、勘と経験をもとにしたA/Bテストや動線変更などの改善施策に頼ることになります。それに対して定量分析から連動した形で、なぜ離脱したのか動画で確認することで、何を改善すべきか 示唆を与えられるのはReproだけです。


    本当にユーザーはサービスプロバイダーが思っている以上に思い通りには動いていません。しかし、サービスプロバイダーは自信をもってリリースしており、自分がつくったものを否定することはなかなか難しいもの。しかし、否定がないとサービスはブラッシュアップせず、ユーザーは離れていくばかり。だからこそ「否定」に気づいてもらうためのツールが必要なのです。


     

    ■伸びている市場を支える技術であればあるほど実現すれば大成する


    Q.このアイデアはどこから生まれたのでしょう?


    先にもお話しましたが、ECサイトを運営しているときに使用したツールでの体験がもとになっています。スマートフォンはPCと違いとても制限が多く、そしてアプリ市場が大きく伸び続けている。だからこそ、ユーザーの定着率を伸ばすためには、このサービスは絶対に必要であると考えました。ただ、技術的にもかなり繊細な領域。だからこそ、実現したら必ず成功すると踏んだのです。


    Q.その難しく繊細なテクノロジー領域をどう乗り越えましたか?


    僕自身、Objective-Cは初めてだったのですが2ヵ月でR&Dしてプロトタイプをつくって技術的な側面からビジネスとしていけるという判断をしました。


    プライバシー対策やパフォーマンス 、APIのユーザービリティ、様々なユーザーのコーディングスタイルへの対応、他のSDKとの競合など考えることが多くて大変です。その中でも一番苦労したのはユーザー行動を調べるツールがユーザーのアプリに影響を与えてしまったら元も子もないので、パフォーマンスには気を遣っています。今のReproが成り立っているのは、優秀なチームメンバーに支えられているおかげです。


    また、分析の側面もMixpanelやGoogle アナリティクスでもできないような定性情報と定量情報を結びつける柔軟な分析を目指したので技術的に、特に設計が大変でした。当時はエンジニアが僕しかおらず、ひとりでつくっていたので自分でわからないことは優秀な友人のエンジニアに聞くなどしてスピーディかつ、正確に構築するよう努力しましたね。


     

    ■関わるクリエイターたちの満足度をあげ会社を成長させるのがCTOの役目
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    (写真:社内でのランチは社員みんなで作って食べることも多い)


    Q.三木さんがエンジニアとして心がけていることはありますか?


    当たり前のことですが、技術面で同じ間違いは絶対にしないようにしています。技術的な過去の負債を増やしてしまっては自分のスキルは向上しないので、常に何が正しいのかを考え、必要であれば新しい技術を最短のアプローチで得るように心がけていますね。


    Q.それではCTOとして心掛けていることは?


    フェーズによって異なると思っていて、黎明期では技術的リーダーシップとともに、サービスの方向性などをきちんと考えること。一番コードを書く人みたいな感じです。


    成長期には関わる人数も増えてきますから、みんなが気持ちよくユーザーとプロダクトに向き合って、何をしたらよいかを考えられるようにすることです。関わる人たちの満足度をあげながら、同じ方向を向き、会社として大きく成長させることに注力することがCTOの役目ではないでしょうか。


    本当にCTOは「自分が技術面で一番優れている」ではダメで、事業と人を一番大切にしないといけないと痛感しています。会社としての方向性と、それに携わるメンバーが技術的にどうしていきたいかをすり合わせすることも重要な任務です。


    Q.三木さんが今後、一緒に働きたいエンジニアとは?


    ひとつはテクニカルに優秀な人。技術的なビジョナリーをきちんと持ち、どうあるべきかを見据えながら自発的に行動できる人ですね。もうひとつは事業的な側面から「こうあるべき」という意識を持っていて、自分が何をすべきかを判断していける人。このどちらかを持っている方と働きたいですね。

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    (写真:三木さんの愛猫も一緒に出社。社内一の癒しの存在になっている)


    QRepro株式会社ではITプロパートナーズのサービス利用を検討されているとのことですが、どのあたりに興味を持たれましたか?


    ズバリ、人材ですね。このようなサービスに自らエントリーしてくる人たちは、自分のやりたいことを見据えており、そのために足りないスキルを補いたいと考えている人が多い。つまりビジネスサイド寄りの意識を持っているため、確実に優秀なエンジニアがいると考えています。


    いままでの経験上、自分の方向性が明確な方は仕事でも決して手を抜きません。働く時間や雇用形態に関係なく、その場で最高のパフォーマンスを出してもらえれば、私たちとしてはまったく問題はないので、非常にいいサービスだと思っています。


    Q.先ほど「成功体験がない」とおっしゃっていましたが、三木さんの考える成功とは何でしょうか?


    自分のつくりあげたサービスがユーザーと市場にフィットすることですね。競合ツールを使っていたとしてもリプレイスしたくてみんなウズウズするような。ただ、つくったものに対しての自信はありますが確証はない。だからこそ、確証を得る方法を日々考えています。


    いろいろな仕事に携わってさんざん失敗してきたからこそ思うのですが、失敗することはすべて悪ではありません。「この事業ではこういう方向性が間違っていた」など何が正しくて、何が間違っていたかを身をもって経験することで本当の意味で理解できたので。大切なのは同じ失敗を繰り返さないことであると心から思います。


    Q.今後チャレンジしたい技術を教えてください。


    今の事業が成熟してエグジットしたらロボット関連の事業やバイオに挑戦してみたいですね、筋電とかをうまく使って身体能力の拡張を可能にするミドルウェアをつくったり。とにかくやりたいことは無数にあるんですよ。


    サラリーマン時代と違って、今は結果を出すために自分の人生の時間をすべて使って努力することができる。僕は実力がないので、スキルを伸ばしていくには時間でリカバリーするしかない。だからこそ、この働き方は自分に一番合っていると思います。


    どんな働き方をするにせよ、決して後悔はしたくない。これが僕の座右の銘かもしれません。


     


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