TOP

  • 全ての記事
  • 日本のCTO
  • ITプロインタビュー
  • 利用企業インタビュー
  • その他
  • close

    MENU

    【日本のCTO Vol.2】 株式会社Zpeer 共同創業者・CTO栫井誠一郎氏「『官』と『民』のブリッジになって日本をよくすることが私の人生目標」<前編>

    日本のCTO

    2015年07月09日

    【連載:日本のCTO】成長中の企業でCTOを務めるエンジニアたちは、どのような道のりを経てそこへたどり着き、現在は何を思考し、努力を続けているのか? この連載では活躍する日本のCTOを訪ね、キャリアの背景にあるストーリーから、CTOとしての知られざる思考やエピソードなどを伺っていきたい。
    出生率の低下により、いまや子どもの数をペットの数が超えたというペット大国、日本。しかし、動物の命を守り、健康を維持する獣医師先生は全国で1万5000人程度で国や民間企業の取り組みでカバー出来てない領域も多い。

    そこに目をつけたのが株式会社Zpeerだ。獣医師先生のコミュニティサイト『Vetpeer』を運営し、獣医師先生をはじめ動物病院向けの製品を開発しているメーカーに対し有益なサービスを次々と展開。そのプラットホームを開発するのが栫井誠一郎氏。経済産業省に6年半在職した後、28歳で退職。Webサービス企画開発事業を立ち上げ、その2年後に現企業で手腕を振るうというユニークな経歴を持つ栫井氏に官から民へ飛び出した理由、そして今の事業への思いを伺った。

    ※記事は前編、後編に分けて掲載します。本記事は<前編>です。
    Q.株式会社Zpeerが運営する『Vetpeer(ベットピア)』はどのようなサービスですか?

    獣医師先生専用のコミュニティサイトで、動物医療関連のニュースや新薬のプロモーション、セミナー案内、アンケートでの統計結果紹介や医療機器の口コミなどのコンテンツを盛り込んだサイトです。獣医師先生と動物医療関連企業双方がつながり合えることを目的としたサービスですね。

    例えば、メーカーのMRさんが直接訪問できる動物病院は限られていますし、訪問したとしても診療で忙しい獣医師先生は説明が聞きたいけれど話ができない場合があります。でも、『Vetpeer』を見れば自分たちに必要な情報を共有でき、お互いにとってプラスです。

     
    ■獣医師先生と動物医療関係企業のかけ橋になるサービスを提案
    Q.その中でも特に好評なコンテンツはどのようなものでしょう?

    『獣医師統計』という、獣医師先生が獣医療や日々の診療に関わることなど様々な疑問を投稿し、それに対しての回答を統計結果として紹介するコンテンツです。「開業にいくらかかった」とか「去勢手術の縫合の糸は何を使っている」など経営や医療製品に関わることから素朴な疑問までを掲載。多忙のため、あまり横のつながりを持てない獣医師先生にとって、とても参考になると好評の声をいただいています。

    また、セミナーの動画配信も人気のコンテンツ。会場に足を運べない獣医師先生だけでなく、現在、育児休暇をとっている獣医師先生からも「自宅で子育てをしながら新しい技術をキャッチアップできる」と喜びの声をいただきました。そして、セミナーを開催する企業やメーカー側からも低コストでより多くの獣医師先生に訴求できると評判が高いですね。

     
    ■日本のペット産業の活性化が社会貢献につながる
    (写真:共同創業者の藤本裕氏とともに。ビジネスパートナーでもプライベートでも遊ぶ仲だそう)

    Q.まさに相互メリットですね。そもそもこのビジネスモデルを考案したきっかけとは?

    おおもとのモデルは共同創業のパートナーが考案したものです。彼は製薬会社のコンサルタントを経験した後、製薬メーカーに入社しており業界に精通していたことが大きいと思いますね。

    なぜ動物医療なのかというと、日本のペット保有率は年々高くなっており、ペットの臨床をしている獣医師先生は全国で約1万5千人。しかし、動物病院の規模は比較的小さいところが多く、獣医師先生ひとりと数名の看護師で運営されているところがほとんどです。そうすると、日々の診療の中で、病院を離れて最新の情報を得ることがなかなか難しい。そこで、動物医療関連の企業と獣医師先生たちをつなげられるサービスがあれば、双方のメリットにもなりますし、ひいては日本のペット産業の活性化にも貢献ができると考えたのです。

    Q.『Vetpeer』をオープンして1年半ですが、スタートアップ時に大変だったことを教えてください。

    サイトを利用してくれる製薬メーカー、そして獣医師先生の獲得ですね。ターゲット層が明確な分、一般的な集客方法ではなかなか集まりません。ですから、最初の3ヵ月は完全無料で情報掲載を行い、認知度のアップに努めました。そして大きく集客が伸びたのは、先程申し上げたセミナーの動画配信。セミナーを見てほしい製薬メーカーと組んで、MRさんが病院を回る際に、興味はあるけれど忙しくてセミナー会場へ足を運べない獣医師先生に『Vetpeer』に登録すれば動画で見られるとアナウンスしていただいたところ、爆発的に会員数が伸びました。

    3ヵ月で1000人を超え、現在では5700人、全国の獣医師先生の約40%に当サイトをご利用いただいています。

     
    ■ビジネスとは社会に対して価値を生むことである
    (写真:株式会社Zpeerが入るシェアオフィス『HAPON新宿』のオープンスペース。個別スペースの利用以外にも、ここで打ち合わせを行っている)

    Q.栫井さんがこのサービスにジョインしようと思った理由は?

    もともとのきっかけからお話しますと、以前は経済産業省に勤務していました。ここで思っていたのが、国をよくしようとし考えたとき「官」ができることはあくまで環境整備であって、プレイヤーとして動くのは「民」の力。この両方がうまくリンクすればもっと社会貢献ができるし、社会がよくなっていくはずだと。

    そのためには「官」と「民」の間に入って価値を生み出すことに従事できる人材が必要です。だからこそ、社会に対して価値を生み出すことができるこのビジネスモデルを聞いたときは、自分がその人材になれると、すぐにジョインを決めました。それも、Webで閉じるのではなくリサーチやコンサルティングなどさまざまな掛け算によっていままでにない大きな価値を生み出せる素晴らしいサービスだと感じたのです。

    キレイごとに聞こえるかもしれませんが、私は金儲けに走る気はありません。獣医師先生、製薬メーカー、動物関連企業などそれぞれに価値を落としながら、私たちもチームの中に入れてもらって「官」の動きとリンクし、また、必要となれば「官」への働きかけを行っていくことが最終の目標です。ペット産業は、今後より一層、必要とされる領域ですから、私たちが「官」と「民」のブリッジになって社会に貢献したいのです。

     

    <後編につづく>

     

    ―以上、前編では『Vetpeer』のサービス内容を中心に話しを進めたが、後半では栫井氏のユニークな経歴、そしてCTOとしてあるべき姿、経営者としてビジネスを成功させる心構えと「日本をよくするため」の思いを語ってもらう。

     

    edited by editor
    ITPRO