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ITプロインタビュー

2015年09月11日

「フリーランスを経てまた社員になるのは僕の中で『感覚の自由さ』が違う」【田野誠さんインタビュー】

9年勤めたコンサルティング会社で、突然のリストラ。「31歳にして野に放たれ、拾っていただいた会社で必要に迫られて、初めてプログラミングを勉強した」という田野誠氏。その後プログラマーとして急速に経験を積み、フリーランスとして独立。コンサルとエンジニア、双方の視点を活かしてスタートアップ3社の支援を担うように。昨年末からはITプロとして1年以上働いていたエウレカに“社員”として参画を決意。その背景とは―?

■会社を解雇され、31歳で初めてプログラミングに触れる

Q.エンジニアとしてのキャリアをスタートした背景は?


2001年に大学を卒業し、9年ほどは大手のコンサルティング会社に勤めていたんです。クライアントと要件を決め、プロジェクトメンバーにお願いするという日々でした。10年目のある日、会社で人員整理があって…クビになったんですね。そこで31歳にして、野に放たれまして(笑)。


すぐ就職できるだろうと思っていたら、意外と甘くなかった。結局、1年近く就職活動しました。最後はハローワーク経由で面接に行った会社にたまたま前職の先輩がいて拾っていただき、そこで必要に迫られてプログラミングを始めたんです。だからプログラマーになったきっかけは、自分で選んだというより流れですね。唯一の生きていく方法がそれだったという。そこから3年ほどはその会社で、派遣技術者として働いていました。


Q.31歳のときに、初めてプログラミングを?


机に入門書を積みながらなんとか勉強して、実力を身につけていきました。1年ほど経つと技術も追いついてきて。途中からはプログラミングだけではなく、もともと得意だった、クライアントとの企画会議や要件定義などにも関わるようになりました。


Q.その後フリーランスに?


派遣会社の後、デジタルガレージという会社に就職して、新規事業部の仕事をやり始めました。日々仕事をしているうちに「起業したい」という思いが強まり、何を血迷ったか、先の予定もなく衝動的に辞めたんです。当然辞めた後に、お金に困りました(笑)。友人と起業しようという話もいくつかあったんですが、なかなかうまくいきませんでした。


そんなときに友人経由でITプロパートナーズを知って。週5の仕事を紹介してくれる人もいたんですが、基本的には自由でいたかった。時間を自分の好きなように使いたいという気持ちがあったんです。


そこで週3日はITプロで働き、残り2日間を使って、いろんな人と起業のチャレンジをしていました。ITプロとして株式会社エウレカに入って、働いていたのが2013年の8月末から、2014年の11月までの1年ちょっと。僕の場合はそのままエウレカの社員になって、今に至ります。


 

■スタートアップ3社を手伝いつつ、交流会で人脈を広げた

Q.ITプロとして働いていたときの1週間の過ごし方は


基本的には火・水・木の11時から21時くらいがITプロ。朝は5時くらいに起きて、Webで情報収集したり、イベント情報を探したり。朝8時からの勉強会に参加することも。技術系というよりは人脈づくりで、朝ごはんを食べながらいろんな人と話す形式のものです。


月・金は、友人と起業の打ち合わせなどをしていましたが、途中からは個人でスタートアップの会社を複数手伝うようになりました。金曜日の午前中は、C to Cのマッチングサービスの戦略会議に参加し、月・金の午後はまた別のメディア系会社に常駐。ITプロのエウレカを含めると、実質スタートアップ3社を手伝っているような形でしたね。


Q.オフタイムの過ごし方は?


10年ほどビリヤードをやっているので、月に1回くらいはビリヤードへ。あとは、家族共通の趣味があったほうがいいよねということで、去年は妻とふたりでビデオカメラの撮影講座に通っていました。地元のお祭りなどを撮影して、編集してテロップをつけて。地元テレビ局で、僕らが撮影したVTRが放送されたりもしたんです。


勉強会や交流会も、積極的に入れていました。スタートアップ、技術、デザイン、いろんなイベントに顔を出しますし、自分で主催もします。フリーランスにとって人脈は要なので、常に人に会うようにしていましたね。


 

■フリーランスで培った「自由さ」を武器に、“社員”が目指すもの

Q.個人でスタートアップ3社を手伝うなかで、エウレカに社員として入ることを決めた、その背景とは。


3社を並行して手伝うという状態も楽しかったです。いずれも伸びざかりの会社で、A社のナレッジがB社で活きたり、その逆も然りでした。ですがあるとき信頼する友人に「田野ちゃん、いつまでプラプラしてるの? 起業しないにしても、ちゃんとコミットして働いた方がいいよ」と言われました(笑)。1社に絞って週5でコミットしようかなと。


絞るからにはフルコミットしようという気持ちだったので、責任を負うためにも社員になりたいとエウレカに相談をしたら、ぜひと受け入れていただきました。僕としても、いつか自分が起業する上で足りない要素を、エウレカだったら身近に感じて学べる、という気持ちもありました。


もちろん今は社員になった以上、「この会社のためにどこまで、何ができるか」を一番に考えています。社員といっても、フリーランスを経てまた社員になるって、僕の中では「感覚の自由さ」が違うんです。「社員だからこう動こう」というよりは、「会社のビジネスのコンテクストを捉えた上で、社員としてどういう動きができるか」。


実際、他の方とは違う動きをさせてもらいながら、少しずつ策を打ち始めています。本業はプログラマーでありつつ、フリーランスのときにできた人脈を活かしてイベントを打ち立てるなど、採用の施策にも関わっていたりとか。そういう自由さを許容して背中を押してくれる会社だからこそ、実現できることだと思います。


 

■技術書だけでなく、経営書を読んで視野を広げる

Q.田野さんから見て、今後求められるエンジニアとは?


エンジニアって、技術をとことん突き詰めるエンジニアと、技術は広く浅くでも影響力を出せるエンジニアの、2種類いると思うんです。僕はどちらも価値があると思っていますが、自分としては後者の役割と思っています。


結局開発もひとりでできることには限界があって、チームとして周りを巻き込む力がどうしても必要なんです。他の技術者はもちろん、デザイナーやディレクターも含めて。さらに「ユーザーはどういう使い方をしていて、どこに喜びや不満を感じているか」と、プロダクト全体のことを考えられる視野の広いエンジニアが求められてくると感じています。


僕自身、メインはプログラマーではありつつも、常に会社としての視点を持った上で、それに対してプログラマーがしなきゃいけないことは何か、を考えています。これまでもUXやビジネスモデルについて勉強してきましたが、今後はビジネスモデルのさらに外、市場環境の分析能力を身につけていきたいですね。


Q.視野を広げたい、と考えているエンジニアにアドバイスをするとしたら


僕がこの視野を持てたのは、『リーン・スタートアップ』という経営書のおかげ。以前、自分が頑張って書いたコードを、結局誰にも使ってもらえないという状況にあったとき、「本当に使ってもらえるコードを書くにはどうしたらいいんだろう」と悩みながらこの本を読んで、視野が開けて。


技術書も大切ですが、それ以上におすすめしたいのは経営書。そこから、「なるほど、こういう考え方で事業を組み立てるのか」と興味関心を持つことで、自然と自分の視野が広がってくると思います。


 


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