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    「インターネットの介入しづらい領域に、一石を投じるサービスを」【西谷雅史さんインタビュー】

    ITプロインタビュー

    2015年07月24日

    インターネット上でのいじめや犯罪が騒がれている昨今、そういったトラブルから子どもを守るWEBサービス「Filii(フィリー)」が多数のメディアから注目を集めている。これを手がけるのが、エースチャイルド株式会社の代表取締役、西谷雅史氏。取材対応から官公庁との打ち合わせまで多忙な日々を送る一方で、週2日は別企業でITプロとして働いているという西谷氏に、自社サービスへの思いから、現在のワークスタイルの背景について話を伺った。
    ■開発現場や新規事業に携わった9年を経て、起業へ
    Q.これまでのご経歴を教えてください。

    新卒で日本総合研究所に入り、そこから分社化でJSOLという会社に移って、5年間ほどエンジニアとして働いていました。当初は「今週中にこの問題を何とかしてくれ」と企業に呼ばれては、出かけて、直す…という火消しみたいな仕事で。フロントからインフラまで、幅広くやっていました。

    その後、3年半ほどは新規事業を企画する部署へ。クラウド事業をメインに、サブでビッグデータやモバイル関連事業などに携わっていました。事業計画を立て、実際に小さい案件を取ってきて実行し、そのフィードバックを現業部門に活かしていく。イントレプレナー(社内起業家)のような感じで。合計で9年ほどはいわゆるサラリーマンでした。

    大学時代から漠然と起業に興味があったのですが、新規事業に関わるなかで自分の事業をやってみようという思いが強まって。1年半ほど入念に準備を進めて、2013年10月にエースチャイルドを立ち上げました。

     
    ■世界とつながる時代の子どもに、新しい安全のカタチを
    Q.ネット上でのトラブルから子どもを守るWEBサービス「Filii」はメディアからも大きな注目を集めていますが、この開発にいたる背景とは?

    最近では子どもがスマートフォンなどでインターネットに接続し、ウェブサービスやアプリを使って交流するのが当たり前になってきています。極端な話、それがないと仲間から情報がこなくなり、結果として仲間外れになってしまう。そういう事態が起きています。

    そんな子どもたちの現状を考えると、例えばフィルタリングのような、機能制限をかけるという方向性は今でも十分機能していますが、それだけでは足りないのかな、と。交流サービスを使うのは前提としたうえで、上手く危険を察知し、守ってくれるような形が求められてくると思ったんです。

    Q.Filli」は、具体的にはどういったサービスなのでしょうか?

    SNSなどの中の登録情報や、1対1でやりとりしている会話の内容などを、子どものプライバシーを保ちながらデータ分析します。そこで危険だと思われるやりとりが発見されれば、「こういう使い方は危ないですよ」「こういう情報が最近よくあがっているけれどお子さんは大丈夫ですか?」などの情報をユーザーに届けて、親子のコミュニケーションのきっかけを提供するというサービスですね。

    Q.そもそも、子どものセキュリティというテーマに着目したきっかけは?

    きっかけは自分に子どもができたことです。今、東京の子どもたちは、年齢関係なく約9割が何らかのツールでインターネットにアクセスしている。さらに小学校1年生でも、クラスの約3分の1が、自分または親のスマートフォン、タブレットなどで友達とLINEをしているケースもあるという状況です。

    インターネットの中では、外から何か言われることもなく、犯罪のように摘発されることもなく、やりたい放題になっている。ゲーム会社もキャリアも自社サービスでの個人間のやりとりには介入しづらいんですよ。そこに一石を投じるという意味でも、自分の子ども世代の将来のためにも、今からやっておきたいと考えたんです。

     
    ■ITプロの活用で、受託案件ではなく自社サービスに集中
    Q.ご自身の事業もお忙しい中、ITプロという働き方に興味を持った背景は…?

    今のところ、「Filli」は完全に無料で提供しているサービス。当然資金繰りは厳しくなりますが、受託案件をフルで受けてしまうと、自社サービスのことが何もできなくなってしまう。そこで週2、3くらいで効率よく働けるしくみはないかと探していたんです。

    そんななか、人の紹介でITプロサービスを知って。明日どうなるかわからない身で働いていたので(笑)、決まるまでの時間が長いと厳しいと思っていたのですが、実際には、月曜日に相談して金曜日には働く先が決まった、そのくらいのスピード感でした。

    Q.現場へ入る前と後でギャップを感じたことはありますか?

    プロジェクトマネージャーが工数を管理して、ガントチャートひいて…という形ではなく、実際には「これを任せます」という形で、後はスケジュール感なども自分で担当者と話しながら進めていくことができる。これはかなり意外でした。派遣先の企業の方が、ITプロサービスで入ってくる人たちがどういう人か」をきちんと理解された上で運営されているという印象を受けましたね。

    Q.1週間の過ごし方は…?

    週2日はITプロとして働き、それ以外は土日も関係なく、自社の仕事。睡眠は毎日朝4時〜7時くらい。ショートスリーパーなので、あまり寝なくて良いんですよね。ITプロは、火曜は打ち合わせなどが入ることも多いので基本固定にしていますが、木曜は流動的で、自分の仕事に合わせて、週によって他の曜日にずらしたりもします。

    自社では、開発は他の開発メンバーに任せ、自分は主に営業やブランディング、プロモーションなどの部分で動いています。事業内容的に、自治体や官公庁とのやりとりも多いので、結構いろいろなところへ出かけていますね。 

    Q.自社事業と、ITプロを並行してやっているバランス感はどうでしょうか?

    ITプロで安定して資金をつくりつつ、かといって週5で拘束されるわけではないので、空いた時間に自社の取材を受けたり、協業企業や官公庁との打ち合わせに出かけたり。23という就業スタイルがあることで、本筋の事業もまわっているという感覚はありますね。 

    Q.収入以外の面でも、感じられているメリットはありますか?

    派遣先では他にも数名のITプロがいるのですが、みなさんすごく優秀で、こういう人たちがいるんだ、と思いました。お昼の会話とかも技術の会話なんですよ(笑)。優秀なフリーのエンジニアと席を並べて開発の仕事をするという機会はなかったので、新鮮ですよね。

    また、使っている言語が自社サービスと同じだったので、「こういうプラグインあるんだ」とか、技術的にも自社の参考になることもありますね。

     
    ■常にトライの方法論を考えられるエンジニアであること
    Q.今後、市場価値の高まっていくエンジニアとは?

    我々はベンチャーなので、新しいことをやっていかないといけない。となると、「それできません」とすぐに言うのではなく、トライするにはどうすればいいか、の方法論を考えられるような人新しいものを作ろうという意思がある人ですよね。

    あと個人的には、英語の論文が読めて、技術的な要素を理解する吸収力があり、それをどう実際に落とすかという応用まで考えられるエンジニアが必要かなと思っています。そうじゃないと、世界と勝負できないと思っているので。 

    Q.ご自身の今後の展望をお聞かせください。

    今は“子どものインターネット上の安全”を主なテーマとしていますが、今後はキャリア教育や、子どもが将来グローバルに活躍できるような環境整備など、子どものための事業を広くやっていきたいです。ただ、それらの情報発信を行っていくうえでも、まずは子どもが安全にインターネットを使えることが前提なので、まずはここからですね。

     

    edited by editor
    ITPRO